トーマの休日 ~Toman Holiday~

映画&音楽を中心に

一筋縄ではいかぬエビ暮らし ~アルバム"エビクラシー"~

 

 

 

 

名盤にして問題作、エビクラシ―

 

 

 

 

歌もライブも素晴らしい、しかしながら傑作アルバムもコンスタントに連発する数少ないアイドルグループ=私立恵比寿中学。そして、このグループほど困難が悔しいぐらい立て続けに起こるグループもないと思う。年間ベストアルバムを選ぶ音楽ファンの感想や文章を見る限り、ほぼ毎年彼女らのアルバムが取り上げられている。これはアイドルとしては極めて珍しいことだ。さらに昨年のアイドル楽曲大賞楽曲部門アルバム部門でも上位の方にランクインしていて、"中学生"なのにもうベテランの域に到達したかにみえる。アイドルオタクにも愛され音楽オタクにも愛される希少な、そして異質なアイドルユニットなのである。一方で、3人同時卒業、突発性難聴のため柏木の活動停止、そして松野の急逝、今年初めの廣田の卒業……何故このグループにずっと逆風が吹き荒れるのか。

 

エビクラシーを聴くにあたって、一つの疑問が私の中で生じていた。

果たして、本当に良いアルバムか?

ということだ。あれからもうすぐ1年経過するのだが、アルバムの中身よりも追悼や哀悼の意が先行しているような気がしていたのだ。そういう気持ちが先走っていて、今冷静になってじっくり聴くといやそうでもないのでは?と否定的な気持ちがどこかにあったのだ。

だから、凄い違和感を感じた。大勢の著名な音楽家に曲提供をしてもらいエビ中が歌っているのに、このアルバム以前と以後で何が違うか。この感想に対して、大雑把に区切って3人の自分がいる。

 

 

 

エビ中ファンとしての自分はアルバムを聴くと、やはり決して戻って来ないメンバーを思う気持ちが溢れる。

「感情電車」「紅の詩」「春の嵐」等々の情緒的な詞は今のエビ中でしか歌えないだろう。「なないろ」の歌詞にキミと書かれているとどうしても恋愛対象の相手ではなく、"りななん"が頭の中をよぎる。残ったメンバーもきっとそういう気持ちで歌ったに違いない。

 

 

一歩引いて、アイドル好きの自分からの視点では「エビ中」らしさというのが無くなったように感じる。極端な話、そういう"エビ中っぽい"と感じるのは最後のトラック「フォーエバー中坊」のみだ。

いままでのオリジナルアルバム、つまり「中人」「金八」「穴空」は、その"アイドルっぽさ"と曲を作っている音楽家のセンスとが丁度良い塩梅で収められていた。

しかし、このアルバム「エビクラシー」ではアイドルっぽさというのを大分削ぎ落したように聴いていて感じる。ギャグやパロディが沢山の笑える要素があんまり感じられなかった。そう、真面目なアルバムなのだ。そういう部分がなくて残念に思ったし同時に寂しくも感じたのだ。アイドルファンだったら誰もが知っている歌は減った。僕の好きだったエビ中が消えたとさえ思った。

 

 

 

だが、音楽好きな自分には、これは傑作じゃないか!と思うのだ。そしてこれはDisc 2があってこそ完結するのでは?と。Disc2には何とメンバーソロの歌唱ver.が収録されているのだ。なるほど。スタッフはメンバーそれぞれの味を前面にしたかったに違いない。本当はこのソロVer.の方を本編に入れたかったのではと推測してしまうほど素晴らしい歌唱である。(余談だが、冠番組エビ中++のEBISU HOUSEを思い出す。この回で自分を出すか、グループを守るかというメンバーの悩みが爆発した。)

以前の傑作群の欠点は演奏時間の長さと曲の多さ。それをカバーするかのように演奏時間も曲数もレコードサイズの長さにし、多方面的な魅力を持つ音楽をギュッと凝縮することに成功した。だから間違いなく傑作だと…。

 

 

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名盤にして問題作。この言い方をすると岡村ちゃんの名盤「家庭教師」を思い出す。岡村ちゃんも同様デビューしてからコンスタントに名作を出し4枚目にしてこのアルバムで絶頂期を迎えた。同じくエビ中も似たような過程を経ているような。エビクラシーも4枚目だし、ジャケットがサイケデリックだし。

 

 

 

 

 

こうした複雑な心境の元、このカラフルな円盤をひたすら回している。今現在思うエビクラシーに対する感想を残しておきたくてこのブログを書いた。恐らく10年後もすればまた違った風に聴こえるだろうけど、ひとまず今は上記のような捉え方とし筆を置くことにした。過去ではなく今の彼女たちにしか歌えないアルバムとなったのだ。

 

さあ、私立恵比寿中学による46分05秒のめくるめく音楽絵巻。あなたなら聴いてどう思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記

そろそろアイドル冬の時代、いや氷河期が来るかもしれない。GEMとアイドルネッサンスの解体、ももクロエビ中のメンバーに代表される卒業ラッシュ、そして我らが女子流ちゃん謎の路線再変更等々……。坂道フィーバーに侵されていく中、それらの事実を知って一気に熱が引いた。私が好きなメジャーアイドルたちが消えていく…今私の心は完全にアイドル・ノスタルジーだ。これが記事を書く原動力になったのは言うまでもない……より一層冷え込むので"心の防寒対策"を忘れずに。