トーマの休日 ~Toman Holiday~

映画&音楽を中心に

"黒い"カートゥーン映画「The Story of O.J.」(邦題:ジェイボ) ~もういい年したJAY-Z~

 

 

ヒップホップ業界を生き抜き進化する男は、やはり格が違う。

 

 

Light nigga, dark nigga, faux nigga, real nigga
Rich nigga, poor nigga, house nigga, field nigga
Still nigga, still nigga

 

肌の色が薄い奴、濃い奴 偽物の奴、モノホンな奴…

金持ちな奴、ひもじい奴 サミュエルな奴、フォックスな奴… (※映画「ジャンゴ 繋がれざる者」を観てほしい)

色んな奴らがいるけど、結局黒人だよ

 

youtu.be

 

 

O.J. like, "I'm not black, I'm O.J."
... Okay

 

O.J.曰く、「俺は黒人じゃない!O.J.シンプソンだ!」

…あっそ、勝手にしな

 

 

 

 

この記事冒頭の意訳が少々ぶっ飛んでいることは認めるが、この曲…このMVがぶっ飛んでいることは、読者の皆には認めてほしい。今年の下半期に突入し、いきなり最大級の衝撃を受けたこのJAY-Zの新曲、The Story of O.J.

この新曲が収録されているのが、先週の6/30に突如TIDAL限定公開されたJAY-Zの通算13枚目のアルバム「4:44」。

 

また、この日は全世界のDJ、トラックメイカーそしてブラックミュージックファンが待ち望んでいた、Calvin Harris氏による超豪華コラボアルバム 「Funk Wav Bounces Vol. 1」の発売日でもあった。癖が強すぎて思わず笑ってしまったYoung Thugの客演曲 "Heatstroke"がお気に入りだ。"熱中症"になりそうな暑さの中、ファレル兄貴とアリアナ嬢の歌声が心地良い。

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さらに先々週の6/23にリリースされたDJキャレドのパーティー新譜、「Grateful」も負けじとゴージャスな内容だ。

新旧ごちゃまぜにチャンス、リルウェイン、リアーナ、ジャスティン、トラヴィス、フューチャー、ベティライト(!?)などなど多すぎて書き切れない。親バカが乗じて、このアルバムのエクゼクティブプロデューサーに自分の息子であるAsahd君をクレジットしている。息子さん、まだ1歳にも満たないのに…おっさん…

 

youtu.be

 

これら近々の2作や先日紹介したドレイクの「More Life」のように、今年のブラックミュージックシーンは"コラボアルバム"が流行っているように思える。自らが一歩引き、交流のあるアーティストたちの個性を曲中でぶつけ合わせる。そこから生まれる化学反応を楽しんでいるようだ。意外な共演、夢のドリームマッチが聴けるから私としては大変喜ばしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ。話はどこだ?

JAY-Zだよ!」っていうことで本題へ。ビヨンセ夫人と夫婦共演でDJキャレドの新譜にも参加している旦那のJAY-Z。本作はTIDALという音楽配信サービス限定とのことで未だその全貌が明らかになっていないが、先ほど届いた冒頭紹介曲のMVだけ観ることができた。下記のサイトにてアルバムの概要を説明している。

miyearnzzlabo.com

 

本作が「ビヨンセに対する男のJAY-Z謝罪盤!」であるといって、彼史上最も個人的な中身だそうだ。また、若い野郎ども(特にトラップミュージシャン)に送る、長い間音楽業界で勝ち抜いてきた先輩からの批判・ディス・メッセージが満載なのだとか。

 

当ブログでは、このMVについて語っていこう。

観ての通り、全編白黒映像、しかも"あの頃"の「トムとジェリー」や「ディズニー」のようなカートゥーンアニメとなっているのだ。ニクい(笑)

さらに、本編では歌詞の通り黒人や彼らを巡るアメリカをひたすら皮肉った内容だ。Nina Simoneの"Four Women"をサンプリングしているあたり確信的である。

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O.J.シンプソン、ローザ・パークス事件、メキシコオリンピックでの表彰台(ブラックパワー・サリュート)、奴隷売買…黒人史に出てくる重要な事柄も映像として散りばめられている。しかもBillie Holidayの奇妙な果実も映像化して挿入してある。

youtu.be

 

また、映画に絡めて話を膨らませると、戦時中のディズニー映画を連想させられるのは私だけではないだろう。

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中々日の目を見ない、日本でも販売されたことのない、ディズニーによるプロパガンダ映画だ。私も初めて知って観たとき、引いてしまった。今あるディズニーのイメージと真反対に位置するからである。オチがこの上ないブラックジョークなのはディズニーならではのユーモアたっぷりの"夢"を見せさせるためか。いずれにしろ、戦時中における"黒い"カートゥーン映画であることには間違いない。

 

 

ただ映像的に黒い訳ではない、いや今だからこそ表現できる「"黒い"カートゥーン映画」がヒップホップの賢人によって誕生したのだ。